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先に前の注意をどうぞ。

シンスケくんが大変イタイです。



こまったもんだ・・・(オマエ・・・



頭を打ったときに、何か重要な部分が根こそぎぶっ飛んでしまったのかもしれない。階段を転がり落ちたときに、理性とか、辛うじて残っていたそういうものも、どこかへ消えてしまった。
走り去っていった土方の後姿を呆然と眺めながら、高杉は自分の顔がどんどん熱くなっていくのを感じた。

「・・・・・・やべェ・・・」

恋をした。

元々常識から見放された人間だったものだから、ひとめぼれって何だよ、とか、それ以前にそもそも男だろう、とか。気がついたときにはそんなもの全部綺麗さっぱり吹き飛んでしまっていて、高杉は立ち上がると土方の駆けていった方を目指して走り出した。
クラスだろうか、それとも部活の模擬店だろうか。
「アイツ何部だよ・・・っ」
薄いけれどきちんと筋肉がついていたから、運動部だろうか。
それよりも先ほど――事故で――抱いた腰の細さを思い出して、高杉の心臓は痛いほど鳴り響くのだ。

とにかく、探さなければ。
探してどうするつもりなのかそこまでは考えていなかったけれど。もう一度、あの顔が見たい。

「――土方、知らねェかっ!」
唐突に飛び込んできた声に、クラス展示で騒がしかった教室は一気に静まり返った。
高杉晋助といえば、色々と噂の絶えない生徒だ。煙草、酒は目撃されているし、実はアッチ系の人と知り合いだとか、そういう店に入っていくところを見たとか。少なくとも好んで友達にはなりたくないタイプの人間だ。
それが血相を変えて飛び込んで来たものだから、みな一様にしんと黙り込んだ。
「土方出せ!」
こうなると討ち入りと変わらない。
手近にいた生徒の襟首を引っ付かんで、がくがくと揺さぶる。
「土方は!?」
「・・・さ・・・ぁ・・・っ」
「てめェら隠してんじゃねェだろうなァ!?」
片目しかない眸で、加えて元々目つきも良くないものだから。眇めたその眸で睨みつければ、半泣きになった生徒がぶんぶんと大きく首を振った。
クラスの大半が、土方が何かをしたのではないか、とびくびくと顔を歪ませている。この男の、逆鱗に触れることでもしたのだろうか。
興奮して顔が赤くなっている。よほど怒らせたに違いない。
「っち・・・」
軽く舌打ちして、高杉は襟首を離すと教室から駆け出て行った。

頭は痛いし身体は痛いし心臓まで痛い。
「っくそ・・・」
高杉の中では、すでに自分達二人が引き裂かれた恋人同士のようになっていて。とにかく土方を見つけなければ、と。ふと、傍の仮設テントの表示に目を留めたのだった。

「・・・・・・あの、一時で締め切ったんですが・・・」
困ったように、待機の生徒がそう呟いた。
「うっせェ。紙書いただろうが」
「いやだから・・・もう締め切って・・・」
「うるせェんだよ」
じろり、と睨みつけられる。
後夜祭のステージは自由参加だ。漫才やライブや、皆こぞって参加するのだが、目つきの悪い不良が参加申込書を持って出せ、と脅されれば、生徒としてはどうしていいかわからない。
「すいませんけど・・・また来年に・・・」
へら、と愛想笑いを浮かべる生徒に、ひくりと目の端を歪めて、高杉は目の前の机に申し込み用紙を叩きつけた。鈍い音がして、机が軋む。
「てめェ・・・俺と土方の仲を邪魔する気かァ・・・?」
引きつった悲鳴を上げる生徒ににやり、と笑みを浮かべて、高杉は低く低く、地を這うような声で、そう言ったのだった。


ステージに出るはずのない人物が上がっているのをみて、生徒ばかりか教師までが怪訝そうに眉を顰めたのは、日も落ちた後夜祭のときだ。軽音部のライブが終わって、盛り上がりも最高潮に達したときに、高杉は静止する生徒たちを睨みつけて黙らせて。ひとりひょいと舞台に上がった。
ざわり、と一瞬、グラウンドがざわめく。全校生徒が集まっているのだ。
――だから、いるはずだ。

「――土方、十四郎」

呆然とステージに立ちすくんだままの軽音部員からマイクを奪い取る。

もちろん、名前は調べてきた。家や誕生日、剣道部に在籍しているということも、クラス委員であることも。家が自分の下宿の向かい側だと知ったときは、なんの運命かと本気で思ったのだ。階段に座り込んでいた男子から巻き上げた雑誌の星占いのコーナーで、おうし座としし座が、今日は恋愛運が最高だということも確かめた。噛まない様に練習までしたのだ。復唱。ひじかたとうしろうひじかたとうしろうひじかたとうしろう。
――抜かりは無い。
「土方十四郎、いるか」
立っている生徒たちの間をじっと探せば、驚いたようにステージの上を見る土方と、視線がかちあった。満足気に笑って、高杉はぺろりと口の端を舐めた。

「好きだ、俺と付き合え」

ステージの上の引っ込み損ねた軽音部員も、呆然と凍り付いているほかの生徒達も、完全に視界の外に追いやって、高杉はマイクをステージに放り投げると、ひょいとそこから飛び降りた。
人が割れて、道が出来ていく。
「よォ」
完全に固まっている土方の元へたどり着くと、高杉はぎゅう、とその身体を抱きしめた。

この、暖かさだ。

「返事は?」
にィ、と笑って耳元で、そう囁く。
「もちろん、頷くよなァ?」
「――っ・・・てめェ!」
漸く解凍した土方が焦って叫ぶけれど、その頃にはもう自分の腕はしっかりと高杉に絡め取られていて。唇に柔らかくて暖かいモノを感じた瞬間に。

土方の中でも、何かが弾け飛んだ。


――
この時点でトウシロウもシンスケに惚れてます(笑)
自由杉だよシンスケ・・・。

スイマセンほんとスイマセン・・・

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