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キモイ高土のなれそめ前編。まだ何とか不良(死)を保っていたシンスケがトウシロウに出会って進化だか退化だかする話。
注・シンスケがキモチワルイのを通り越して、最早イタイです。
鬼畜とかオトコマエとか獣とか、そういうシンスケと、鬼とかツンデレとか鋭い目つきとか、そういうトウシロウの、高土がお好みの方は逃亡をおすすめします。

一年前くらい設定で。
てか長ェ・・・

九月の目標に自分が敗北したとしか思えない(早


恋をした。
そう自覚した時点で、高杉の中で何かが壊れたのだ。
それも今までこんなことが無かったものだから。
盛大に、崩れ落ちるビルのように。


夏休みの倦怠感も抜けないままに、まだ残暑の厳しい頃。文化祭は、そういう時期に行われた。仮設テントの部活の模擬店から、香ばしい匂いが立ち上る。
そんな光景をぼんやりと眺めながら、高杉は一人、屋上で煙草を揺らせていた。台風はギリギリ過ぎ去って、抜けるような青空だ。白い雲がひとつふたつ、居たたまれなさそうに浮いていた。
高杉は典型的な問題児だった。勉強どころか学校にも来ない。保健室登校かと思えば、昼までベッドを占領して、その後は一人こうして屋上へ上るのだ。
高杉の学年は教室でのクラス発表がそれぞれ許可されている。自分のクラス――と言っても殆ど顔を出していないけれど――も、何かやると言っていた、ような気がする。
最初は来て欲しい、と高杉の鋭い独眼にも負けずに遠慮がちに女子が来ていたのだが、結局諦めたのか、それともそんな暇も無くなったのか、当日になってももうだれも、何も言いに来ない。
静かで良い、と思っている。家に帰れば一人暮らしなのだからどうせ静かなのだが、学校の喧騒は、どうも苦手なのだ。嫌いと言っても良い。
一人屋上にこうしている時間が、幸せだと思えるのだ。

本来ならこんな行事、家でごろごろしてようと思っていた。現に、朝まではそのつもりだった。携帯の着信音で叩き起こされるまでは。
「――十八回もかけて来やがって・・・」
十八回目でようやく出た電話の向こうは、知らない声で。相手は、土方と名乗ったのだ。
『今日学祭、来い』
「・・・誰だてめェ・・・」
『だから同じクラスの土方だってんだろうが、クラスの奴の名前くれェ覚えとけよ』
相手も眠いのだろう。ろれつが回っていないような気がする。ふざけんな、といってそのまま電話を切ると、十秒後にもう一度、同じ電話番号からかかってきた。
『クラスで集合写真撮んねェといけねェんだよ。てめェが来ねェと別日で撮り直しんなんだよ。面倒だ、来い』
一方的に言って切れた電話を片手に、そして高杉は、小さく嘆息したのだった。

考えてみれば、今日行けば、あとは口うるさく言われる事もない。自由行動な文化祭であるから、一人屋上で呼ばれるまでぼんやりとしていれば良いか、と。集合時間もとっくに過ぎた頃に一人、高杉は学校へやって来た。
「つかホント誰だよ、アイツ・・・」
土方とか言っていた。記憶を掘り起こせば、何となくそんな名前の奴もいたかもしれないが、定かではない。宅電の無い高杉は連絡網に携帯の番号を書いたから、きっとそれを見たのだろうけれど。
「面倒くせェ・・・」
何もかもだ。
面倒で仕方が無い。
高杉の両親は金持ち、というやつだった。過保護で、一人っ子の自分に構いたくて仕方が無いらしい。
高校に入ったときに、これも勉強だからと一人暮らしをさせてくれ、と頼み込んだ。高校になってまで、親に構われるのは御免だ。
案の定諸手を上げて賛成してくれた。生活費には困らない、学校も適当に行っていれば、誰も何も言ってこない。最初の頃は教師だの友達だのが「一人暮らしだから」と心配そうに声をかけてきたものだったけれど。
「面倒くせェ・・・」
もう一度呟いて、高杉は屋上から火のついたままの煙草を投げ捨てた。
グラウンドや中庭はいやというほど盛り上がっている。凝縮されたエネルギーが爆発しているようで、煩くて、喧しくて。
「・・・っち」
一度舌打ちして、高杉は放り投げていた鞄を拾い上げた。
帰ろう。集合写真ももうどうでも良い。

屋上の扉に手をかけたところで、何の脈絡もなしに、唐突に扉が押し開けられた。
「――っうわ・・・!」
勢いのまま高杉の額を直撃して、鈍い音を立てる。目の前に火花が散って、高杉は思わず頭を抱えて座り込んだ。
「・・・てェ・・・」
「あ?」
恨みがましそうに見上げると、扉の主が怪訝そうに顔を出した。
「何かすっげェ音したけど」
「――て・・・めェ・・・」
「大丈夫か?気分でも悪ィの?」
眉を顰めて自分と同じ視線にしゃがんだ相手を、高杉はぎっと睨み付けた。文句の一つでも言って殴ってやろうかと思ったけれど、頭が痛くてそれどころではない。じんじんと痛む額は、早くも皮膚が膨れ上がっていた。

「つか高杉だよな、高杉晋助」
顔を覗き込みながら、そう言って。相手は助かった、とほっと息を吐いた。
「おれ土方な。電話したろ?」
「・・・てめェか」
何だか恨みが積もっていく。
「悪ィけどさ、人手、足りねェの。クラス来い」
「あァ!?」
「つかオマエ頭どうしたんだよ?」
「てめェのせいだろうが!」
怒鳴って立ち上がると、痛みが頭に集中する。ずきりと走った鋭い痛みに、高杉は耐え切れずにへたりと屋上の床に座り込んだ。
「ってェし、マジ痛ェ・・・死ぬ、痛ェ・・・」
「そりゃァ悪かったな、まァタイミングだ、許せ」
悪びれることも無くそう言って、土方はひょいと立ち上がった。高杉の腕を掴んで無理やり立たせる。
「行くぞ」
「・・・ってェって言ってんだろうが。行かねェよ」
「あァ?」
「勝手にやってろ、俺ァ帰る」
「はァ、ざけんな!」

眸を眇めた土方は、じろりとその腕を掴んだまま、高杉を睨み付けた。
「面倒くせェ、俺を巻き込むんじゃねェよ」
言い捨てて、高杉は高杉は土方の腕を振り払った。痛む頭を押さえてふらふらと屋上からの階段を下りる。後ろから追いかけてくる足音が聞こえて、高杉は足を速めた。
鞄を抱えたまま全力疾走で階段を駆け下りた。上って来ようとしていた生徒達が何事かと皆道を開けていく。
「――っ待てよ高杉!」
「うるせェ!」
意地でも待つか。追いつかれてたまるかよ――!
生徒たちを蹴散らすように一段飛ばしで駆け下りて。
「待てって高杉!」
「っオイ!」
背後から急に腕をつかまれて、ぐらりとバランスを崩す。足を踏み外して、土方を巻き込んだまま高杉は階段から転げ落ちた。ヤバイ、と思う間もなく視界が反転する。反射的に土方を抱え込んで、そのまま身体ごと二、三度段差にぶつかって、床に叩きつけられた。

「――・・・あ・・・りえねェ・・・・・・し・・・」
頭の痛みに加えて、全身がばらばらになりそうなくらい、痛い。一瞬意識を失っていたのだろうか、腕の中の妙な暖かさだけが、じわり、と伝わってくる。
その暖かいものがごそりと動いたのを感じて、高杉はゆっくりと眼を開けた。
「・・・痛ェ・・・・・・」
ぼそ、と呟かれた声を捉えて、転がったまま自分の腕の中に視線を向けると、土方がひくりと震えて目を開けるところだった。

かちり、と。視線がぶつかり合う。

唇が触れるのではないかというほどの距離で。一瞬二人とも、大きく眸を見開いた。

抱いた腰が細いな、とか。自分の心臓が痛いほど高鳴っているとか。そういう諸々が未だ痛む頭の端を掠めていったのだけれど。

目の前で真っ赤に染まった土方の顔が。不覚にも、綺麗だと思ってしまった――。


――
何か長いんで分けます・・・

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