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久々デレ高土。
久々なので注意書き的な・・・。

キモチワルイシンスケとキモチワルイトウシロウさんが生息しています。
相思相愛杉てキモチワルイです。
ぞわってします。
銀八先生が余計にまわした皿回し並に振り回されて可哀想です。


間に合わなかった・・・。

 

 




土方がいない。
窓から差し込む光の中でぼんやりと目を開けた高杉は、寝ぼけたまま辺りを見回した。また部活に戻ってしまったのだろうか。昼休憩の時間はまだ少し残っていたから、そんなはずはないのだけれど、と。高杉は訝し気に首を捻った。


四月一日は、丁度春休みの真中にあたる。部活の練習が少し早く終わるから、そしたら花見に行こう、と土方に誘われて、断るわけが無い。
「昼メシ作って行ってやる」
そう言った高杉に、土方はいいのか、と嬉しそうに顔を綻ばせていた。
マヨネーズと弁当を詰めた鞄を持って、学校に着いたのが昼少し前だ。春休みの学校は、それでも部活動で賑わっていて、その間をすり抜けるようにして、高杉は手ごろな空き教室へ忍び込んだ。

一時間の昼休憩を、土方と高杉は二人きりで過ごした。弁当を食べて、茶を飲んで、春の暖かな空気の中で。
うとうととし始めたのは高杉で、机に突っ伏した高杉の髪を引っ張りながら、土方は起こしてやる、とその耳に、そっと囁いたのだ。
それが心地よくて。
とろりと落ちかけの瞼で、高杉はその土方の唇に、軽く口付けたのだ。

この後二人で花見へ行って、夜まで存分に遊んで。そうして、当たり前のように土方は自分の家へ来るだろう。そうしたら、また二人で過ごすのだ。
ゴチソウサマ、と。眠くてろれつの回らない舌でそう呟いて。
そこから先は、ふわりとした昼寝特有の気持ちよさに包まれてしまって、覚えていない。


「十四郎・・・?」
椅子から立ち上がって、高杉は誰もいない教室の中でそう呼びかけた。
しん、と。春の蕾の綻びるような空気が、急に冷え切ったような気がした。

「高杉?」
がら、と扉をひき開けて顔を覗かせたのは、土方ではなくて銀色の天パの方だった。相変わらずの眠そうな顔に、飴の棒を銜えている。からころと口の中で転がす音が聞こえて、高杉は小さく舌打ちした。
「てめェかよ・・・」
「随分じゃねェか、教師に向かって」
ひくりと顔を引きつらせた銀八は、ややあって訝し気に顔をしかめた。
机の上には広げたままの弁当で、箸が二膳。茶のコップも二つ置かれている。
片方が高杉なら、もう片方は用意に想像がつくではないか。

「あれ、土方さっき上の方走ってったよ?」
それも、少し、ほんの少し泣いてしまいそうな顔だった。部活の休憩中だったのだろう、袴のままで、銀八には見向きもせずに階段を駆け上がって行った。
「あ?」
眉を顰める高杉に、銀八がちらり、と笑う。
「オマエ、酷ェ嘘でもついたんじゃねェのー?」

何せ今日は年に一度の嘘吐きの日だ。
冗談交じりにそう言ってやる。

「別れてやるーとかさ、オマエなんか嫌いだーとかさ。まあそんときは俺がもらってやるけど」
「誰がてめェにやるか、糖尿で死ね天パ」

そんな事、今聞くまで思い出しもしなかった。そういえばそんな日だったかもしれない。ふ、とそう思って、。けれど高杉は小さく首を振った。
嘘でも本当でも寝言でも世迷言でも。
そんなこと、自分が土方に向かって言うわけがない。困った顔も怒った顔も泣いた顔も皆好きだけれど。できれば穏やかでいて欲しいと思う。
だから。そんな風に、言うわけが無いのだ。


銀八を突き飛ばして、階段を駆け上がる。
何があったのかは知らないけれど。二人でいられる時間を態々一人で過ごすなんて、そんなくだらないことを、どうしてするものか。
廊下と教室を一つ一つ見て回って、時折その名前を呼んで。

最後に残った一番上の扉を、高杉はそうっと押し開けた。
ぎい、と鈍く軋む重い扉は、屋上へ続く扉だ。

青い空に、校庭で満開の桜の香りが混じる。
柵に凭れて、ぽつりと背中が見えた。

「十四郎」
ほう、と嘆息して。その背に呼びかける。一瞬、肩が震えて、そうしてゆっくりと高杉を振り返った。

「晋助・・・」
「勝手に、いなくなってんじゃねェよ。すげェ、探した」
肩で息をしながらそう告げて。土方の身体をそうっと抱え込む。
どうした、と問うのだけれど。苦笑して、土方は高杉の服の袖をぎゅ、と掴んだ。

「今日、エイプリルフールなんだってな。俺、馬鹿みてェだ」
はは、と乾いた声で笑って。
女々しいと思うのだけれど。今まで意識したことも無いこんな日が、なければいいのに、と。今日、初めて思ったのだ。

「晋助が、隣の高校の女と歩いてたんだってよ。で、そのままホテル入って行ったんだと」
「ンだそれ・・・?」
「さっき出会い頭に言われた。どっかの野郎に」

馬鹿みてェだ、と。もう一度呟いて、土方は小さく嘆息した。
信じたわけでは決して無いけれど。鉛を流し込まれたように、ずん、と身体が重たくなった。隣で寝ている高杉が一瞬揺らいで。
そう、思った自分に、ひどく嫌悪した。

何か真っ青なものを見たくなった。海のような、空のような。隠すものの無い真っ青なものを探して、気がついたら屋上にいたのだ。
冗談交じりの戯言で、相手とて笑い飛ばしてくるだろう、くらいの心積もりだったのだろう。真に受けたわけではないのだ。
けれど。一瞬でも何時か来るのかもしれぬと、そう思った、自分を、その青の下に晒したかっただけなのだ。

「悪、ィ。メシ食いっぱなしだし、戻ろうぜ」
なんでもねェよ、と。黙り込んでしまった高杉の背を叩いて。土方は困ったように眉を顰めた。


「てめェは、馬鹿ぜェ、十四郎」
身体に回した手に、ぎゅ、と力を込められて。
そうして、ふいに上げた顔の目の前で、高杉がに、と口元を吊り上げて笑っていた。背後に、青が、見える。

「嘘でも、俺がてめェを嫌いだなんて言うはずがねェ。何があっても、てめェじゃねェどこぞの誰かに転んだりもしねェ」
「・・・今日は、嘘吐きの日だぜ?」
「関係ねェな」

悔し紛れに言ったそれは、一蹴されて。
重なった唇からほう、と吐息が零れ落ちるとうに休憩時間は終わっているのに、振り払う力も、その気も毛頭ないのだから、どうしたものだろうか、と。

熱の上がった頬を高杉の肩口にそっと押し当てて。

「確かに。俺ァ、馬鹿みてェだ」

どうやら、自分は酷く幸せらしい。




――
デレ高土なのにシンスケがオトコマエ的な話を目指して撃沈。
オトメなトウシロウさんを目指して失敗。
キモチワルさだけはいつも通りだと思う。

なんか春っぽい甘ったるい話が衝動的に書きたくなっただけっつー、そんな感じです。
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