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いやスイマセンホントスイマセン。
自己満足に謝罪してどうするという気もするんですが・・・。
月無夜のクリスマス話です。
DVDジャケ後なので、若干の土高風味が感じられるかもしれませんが、軽く、スルーな方向で・・・。
あのジャケ出てから、シンスケ、駄目だ(笑
もうヘタレ×オトコマエだ。
赤く赤く
聖なる血を、肉を。
街は歓喜に沸き立っていた。普段ならしんと静まり返っているこの真夜中でさえ、街中に洋灯の光が満ち、祈りの声と聖歌が溢れていた。
「――どうした?」
夜中、細い月が昇り始めた頃だというのに、ひくりとも身を動かそうとしないトウシロウに、シンスケが訝しそうに眉を顰めた。
「そんなに、したかァ・・・?」
思い返してみるのだが、別段そう酷く抱いた覚えも無い。未だその血を含めぬ焦燥に時折虐めてみたくもなるのだが、ここ数日はそんなことも無く。シンスケからしてみれば、酷く穏やかであったはずだ。
「寧ろ俺が聞きてェし・・・なんでオマエ、平気なんだよ・・・」
「はァ?」
先ほどから、重くて気だるくて、一向に動いてくれない身体を持て余して。トウシロウはため息混じりにそうっと呟いた。
これも、同族にして上と下である、違いなのだろうか。
「降誕祭、だろ・・・、明日だか、今日だか」
「そういやァ、そうか?」
薄っすらと、その足首に十字が浮き出て見えた。ともすれば引っかき傷に見えなくもないけれど。
それは確かに、あの日落とした教会の証だ。
「なんだァ・・・俺が落としてやったろ」
「浮いてきたんだよ」
言葉を舌に乗せるのも億劫で。足元に蟠っていた敷布をごそりと探ると、それを頭まで引きずり上げた。
「まだ寝る気かよ」
「動けねェんだ、よ・・・」
神が降りた日だという。
その肉に見立てたパンと、血に見立てた赤い酒を。
「弱ェなァ・・・」
呆れたように呟いたシンスケをじろりと睨みつけて、トウシロウは一向に消えない身体のだるさを引きずりながら、辛うじて上半身だけ、寝台の上で起き上がった。
ふらり、と横に傾ぐのを支えて、ふ、とため息をつく。
弱いのだ。
未だひとの括りに縛られているからか、それともこういう生き物だからなのか。
教会に居た頃も、この日は皆、同じように椅子や寝台で臥せっていた。幼い子どもや老いた仲間の中には、命を落としたものもいる。
この日、肉は神の肉に。
そうして、血は神の血になるのだから。
身体の中に楔を打ち込まれて、絶え間なく引っ掻き回されているような、そんな気分だ。相容れないものと戦うなんて、そんな生温いものではなくて。
頭から押さえつけられて、身体の内を抉られるような。酷く不愉快だ。
「・・・シン、スケ」
「あァ?」
嘆息して、トウシロウに肩を貸していたシンスケが、ゆるりと振り返る。
「…腹、減った。喉も、渇いた」
服の袖を掴んで、くい、と引っ張ってやる。
一瞬驚いたような顔をして、僅かの間、言葉なく固まったシンスケの頬に、そっと手を這わせた。
「・・・くれよ」
オマエの赤なら、神に侵されていないだろう?
そう言って、薄く唇に笑みを佩いた。
どうせ何も食べられない。喉の渇きを癒して、腹を満たせるのはオマエだけなのだと。そう言えば、シンスケの顔にふ、と笑みが浮かんだ。
シャツを巻くって、自らの手首を、爪で浅く裂く。直線に走った傷から、ぽたりと一滴、赤が落ちた。
「もったいねェ・・・」
敷布に零れ落ちたそれを舐めとって、空をなぞるようにそっと舌を覗かせると、シンスケの手首を掴んで、ちらりとその顔を伺った。
「何だァ?やけにソノ気じゃねェか」
揶揄するように顎を持ち上げられて、滴る血を、その指先からそっと含まされた。
人差し指の爪の先に、形を辿るように舌を絡めて、ほんの少しずつ零れ落ちてくる雫で喉を満たしていく。
力の入らない身体は殆どシンスケにもたせかけて。
赤を舌に絡めたまま、そうっとその耳元で囁いた。
「美味ェ・・・」
そうかよ、と。そう呟いたシンスケに薄っすらと笑んだトウシロウは、そうっと首筋までなぞって。そうして、その肩口に噛み付いた。溢れ出てくる赤をこくり、と喉を鳴らせて嚥下する。
決して、神に侵されない領域だ。
どうしたって自分とは別のものに括られなければ、生きていくこともできないのだろうけれど。
何も考えずに、落とされるままに満たしていれば、胸のうちに響く祈りの言葉なんて、聞かなくても良いのかもしれない。
神の支配するその夜だけは。崩れ落ちる足元より、その赤を見ていたい。
「メリィ、クリスマス。シンスケ」
「は・・・イイ夜だ」
重ねた手が、おびただしい赤で染められていく。
――
拍手ありがとうございます!
月無夜の高土です。クリスマスなのに薄暗い感じで、しかも高土なのに若干土高っぽいという罠。
スイマセン・・・。